子どものごはんがあるのでお先に失礼します。

バツイチ・アラフィフの育児ブログ。略称「こどめし」。なまあたたかく見守ってやって下さい。

二毛作バツイチ・アラフィフの育児ブログ。略称「こどめし」。生暖かく見守ってやって下さい。  

料理の本を作りました

久々の更新です。
TVディレクターの僕ですが、なんと料理の本を作りました!
意外と言えば意外ですが、まあある意味、このブログタイトルにふさわしい本であるとも言えますね!
その下ごしらえ、ホントに必要?  段取り少なく美味しくできる、家庭料理の新常識レシピ
〈教えた人〉松本仲子 〈教わった人〉野田真外 
 

本書は、普段僕が料理をしている中で
「この手順は何のためにやっているの?」
「この作業は必要ないのでは?」
など、感じた様々な疑問を、お料理のエライ人・女子栄養大学の松本仲子名誉教授に単刀直入に聞いて解決していただくという内容になっております。
「レシピ」とタイトルにありますが、レシピは添え物で読み物として楽しめるように作りましたので、ご家庭の主婦・主夫のみなさんはもちろん、料理を普段しない方でも楽しんでいただけると思います。
「マジか! 目からうろこ」
「え、油抜きってしなくていいの?」
など、ご好評をいただいております。
 

どうしてこういう本を作ろうと思ったのか。

僕は「中学校では男子家庭科はなかった」世代だし、実家の母も「男子厨房に入らず」でした。大学で一人暮らしをするまで料理なんて全く習ったことはありませんでした。
結婚してからは共稼ぎだったので多少やるようになりましたが、前の妻も「台所は女の場所」みたいな古い価値観の人だったので、土日の昼飯くらいしか作ってませんでした。
なので、本格的に料理をするようになったのは、離婚してやもめになった時期からです(笑)。
 
ゼロからではないにしても独学なので、料理本を読んだりネットのレシピを見たりして、見様見真似で覚えていきました。再婚前によく作っていたのは簡単で野菜もとれる鍋でした。ご飯を少量炊くのが面倒だったこともあり、冬はほぼ毎日くらい作ってました。
その後、今の妻と付き合い始めて、当時の妻のあんまりな食生活におそれをなして、私がご飯を作るようになりました。その辺のいきさつは妻のマンガに書いてあります。
 

 
そのころから徐々にレパートリーを増やしていきました。もちろん、紙の本やネットのレシピを見ながら、です。だけど、レシピ本や料理研究家のサイトのレシピって、みんな「ちゃんとしてる」じゃないですか。
 
だしをちゃんととる。めんつゆとか使わない。
大根は必ず下ゆでする。
油揚げは使う前に油抜きをする。
ナスやごぼうは切ったら水にさらす。
 
いや、そりゃあやった方が「正しい」手順なのかもしれませんが、みんな本当に家庭で毎日そんなことやってるの? マジで?
ちゃんとした料理の教育を受けたことがほぼないせいか、僕には「正しいレシピ」の手順が無駄ではないのかという疑問が浮かんでくるのです。
専業主婦ならともかく、毎日昼間仕事して疲れて家に帰ってみそ汁の出汁を取ったりしてたら発狂しないの? 
 
幸い、妻はそういうのを全く気にしないアナーキーな人だったので、僕が霜降り無しで作ったぶり大根や、めんつゆで作った筑前煮を美味しいといって食べてくれてました。
やらなくてもいいことなら、なんでいまだにレシピには「油揚げはお湯をかけて油抜きををします」って書いてあるの? なんかの呪いなんじゃないの?
 
ところが息子が産まれて、離乳食を作るようになると、僕も頭がおかしくなってしまいました。そして毎日必死で「手作り離乳食」を作っていました。赤ちゃんのころからちゃんと手作りの美味しい物を与えないと舌がバカになってジャンクフードを食い漁るヤングメンになってしまう……という妄想に取り憑かれて、日々青菜を茹でては刻んだり、鯛の切り身を出汁で煮てすりつぶしたりしていました。
今思えば「なんてアホなことをしとるんだ」という気持ちでいっぱいですが、冷静に考えれば、前の妻と子育てをした頃にうっかりかかってしまっていた「呪い」だったように思います。
子どもは「正しく」育てなくてはならない。
それが親の責任である、と。
大人が食べるものであれば、多少は手抜きをしてもOKだけど、子どもが絡んだ途端に僕にも「呪い」が発動してしまったのです。恐ろしい!
ちなみに、僕が目をぐるぐるうずまきにしながら必死で頑張ったにもかかわらず、わが息子は0歳の頃から偏食ボーイ、というか、「食に対するこだわりが低い」男でした。口に合うものしか食べず、初めて食べるものはほぼ拒絶し、食べたいものがなければ食事を抜いても平気(でも翌日血糖値の低下で起き上がれない)……そして現在は、立派なジャンクフード大好き小学生に育っております。
食育とか子どもの成長にあまり関係無いですね……(泣笑)。
 

謎の手順は要らなかった!

僕の呪いは数年で収まっていきましたが、相変わらず日々の料理でレシピを見ては謎の手順に惑わされていました。ですが、その頃には僕もだいぶ慣れてきていたので「これはやらなくても大丈夫だろ」という手順については勝手に省いたりしていました。「メシマズ妻」がかってにレシピを変更するから料理が下手なんだ、みたいな記事を読んだりしましたが、事実として不要な手順も多いんじゃねーの? と思い続けながら料理をする日々でした。
 
そんなある日、ディレクターの仕事で女子栄養大学の松本仲子先生にインタビューをする機会がありました。
実はこの時の取材は今回の本にやや近い内容でした。
松本先生がその頃に出した本の内容についてのインタビューだったのですが、その本はいくつかの調理の手法について、ありなし(たけのこをゆでる時に皮をむくかむかないか、等)で作ってみて味の変化を比較するというようなものでした。
収録前に打合せをするわけですが、インタビューの内容などについての話が一通り終わって雑談のようになったところで「ところで、油揚げの油抜きってやっぱりやった方がいいんですか?」と聞いたところ「やらなくてもいいと思います」とのお答えが。
やっぱそうなんじゃん!
 
松本先生は、以前から調理手法の「ありなし」で味(の感じ方)がどのように変化するかを研究されている方で、油揚げについてもちゃんと調査済みでした。
この人に、いろいろな疑問を聞いてみたい!
そう考えた僕は、しばらくしてから企画書を書いて、知り合いの編集さんに持ち込んだのでした。
 

料理の世界は保守的?

料理の教育をほとんど受けていない僕ですが、料理の世界はかたくなに以前のやり方が頑固に守られてきた……というよりも、なんというか、「構造的に変わりにくい世界」なんじゃないかなあ、と感じました。
ある手順を何のためにやるのか、どういう結果が得られるのか、なんてことを考えることもなく、数学の公式を覚えるのと同じ様に、本や教科書に書いてあるから「なんとなく」やっている、それが「正しいと言われたから」やっている……みたいなことが結構多いのではないかと。
あと昭和のご家庭だったら、ある手順を「やらなくてもいいのでは?」と思って省いたとしても、夫や姑から「手抜き料理」とか言われて渋々元に戻したとか、そういう光景もあったんじゃないかと、発言小町大好きマンとしては思ったりもするのでした。
もちろん、そのセオリーがうまれた時には何らかの理由があったからこそ、そうした手順が「セオリー」とされたわけです。そして今でもそのセオリーが最適解である手順も数多くあります。というか、ほとんどの手順はそうだと思います。だけど、
調理器具や食材、調味料から、保存方法、運送手段、流通や販売方法まで、戦後すぐから比べると天と地ほどの変化があるにもかかわらず、いまだに「七輪のセオリー」が残っている……なんてことがうっかりあったりするのが、ちょっと面白いですよね。やっている人も、まさか七輪のセオリーとは思ってないでしょうし(笑)。まあそんな「笑い話」的に読んでいただいて、楽しんでいただければと思います。
僕は別に「料理業界を改革せよ!」とか思ってるわけではないですよ? 一介の兼業主夫にそんなパワーはあるはずもございません。できればこれを読んでいただくことで、日々の家事労働が少しでも楽に、楽しくなってくれればいいなとは思っております。
この本は難しい話は抜きにして、楽しく読める本にしたつもりです。
ぜひお手にとっていただければと思います!
 

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